「…と」


「…ぃ、と」


「月斗!」


恐らく何度目かの堀田が俺を呼ぶ声でハッと我に返る。



「ぁ、悪りぃ。」 


久しぶりに何年か前のことを思い出して俺はぼーっとしていたみたいだった。



「どうしたの?」


「…いや、なんでもない。」



きっとこいつは覚えていないだろうな。


そういうやつだ。



「帰ろう。さすがにもう遅すぎる。」


堀田が自分を少し疑問の目で見つめているのを無視してサッと立ち上がり、帰宅を促す。





「うん。」