呆然と立ったままの俺を気にせず、堀田は改札をくぐりホームへと向かって行った。
すぐに我に帰った俺は急いで後をついていき、堀田を追いかけた。
どういうことだ…?
予想もしていなかった言葉に俺はとても驚きを隠せなかった。
収まらない困惑の中、再び無言の時間が始まり、すぐに来てくれた電車に俺たちは乗り込んだ。
お互いに何も話さずにゆらゆらと電車に揺られながら降りる駅まで待ち続ける。
………何を言えばいいのだろう。
……なんて言葉をかけたらいいのだろう。
何年か前、堀田はどういう気持ちで俺に言葉をかけたてくれたのだろう…そんな考えを繰り返していたら家の最寄駅に着いてしまった。
俺は、お前を助けたい。
そんなこと、俺が言っていいのだろうか。
………答えは見つからない。
でも、とにかく何かしなければ。
「堀田」
しっかり、はっきり、俺は堀田の名前を呼ぶ。
「なに?」
先を歩くところを振り向いて満面の笑顔で答えてくれる堀田。
…………そうだ、
「無理して笑うな。」
素直に言えばいいんだ。
辛いなら、苦しいなら、無理するなって。
あの時、堀田がストレートに言葉を投げてくれたように。
「泣いていいんだ。俺と月しか見てない。」
次の瞬間、
ぷつり
そう幻聴が聞こえたと思うくらい堀田は急に涙を流し始めた。
