夜空を見上げて、君を想う。




学校に着いて、有馬じいちゃんに無事買えたことを報告し二人して急いで資料室に戻る。





「よぉしっ、さっさと終わらせるよ!月斗!」

「おう。」








さっきよりも集中して作業にとりかかり、ラミネート作業が残りわずかとなった時に有馬じいちゃんがやってきた。


「おー、ありがとなぁ。」

「先生どうしたの?」

「もう18時過ぎてしまったし、今日はこれでよいよ。」

二人で壁にかけてある時計を見ると、いつのまにか18時を回っていたことを知った。




「でも、まだ中途半端だしやっちゃうよ!先生たちも保護者会の準備で色々忙しいと思うし、暇人の私たちに任せておけばいいって!」

「そうかい?」


「一応、最終下校19時だしまだ平気だよ。」


堀田は文句は言うものの、最後までやるやつだ。自分が授業中にやってしまったことをそれなりに反省しているのだろう。



「では、終わったらワシのところに来てな。」

「うん!」

「了解っす。」


俺と堀田が頷くと、安心したように職員室に戻って行った。






















「ははっ。」

有馬じいちゃんが去って行ってすぐ、俺は思わず笑ってしまった。




「え、どうしたの?」

「いや、お前ほんとお人好しだなって思って。」

「…みんな忙しいし仕方ないじゃん?てか、それを言うなら月斗もだよ。」



俺が?と思い、堀田を訝しげに見る。




「だって、先生が困ってたから買いに行くよって言ったわけでしょ?だったら私と変わんないじゃん。」

「…確かに。」

「ふっ、月斗って他人のことはわかるけど自分のことはわかってないよね。」



「……そうだな。つーか、堀田って意外と人のこと見てるよな。」



「意外」ではない。本当に、堀田はしっかり人のことを見ているのだ。

それはあの時から知っている。






「5年も一緒にいるんだよ?中学一年生はクラス違かったけど〜。」




そう言われて作業していた手をピタリと止め、反射的に春日に言ったことと同じ言葉を口にした。

























「俺は5年一緒にいても、お前のことがわからない。」













 












だって、そうだろ?
お前は、俺のことを知っていてもわかっていてもお前は見せてくれない。






お前は覚えていないだろうけど、

俺は見せたのに。



話したのに。











































小さな英語資料室が静かになった。