「まったく、有馬先生は無駄に厳しいんだよー。」
100円ショップに向かう途中で堀田がぶつくさと小言を言い始める。
「まあ、生まれた時代が違うから変に厳しいところあんだよ多分。何も考えないで重労働課すとことか…」
「そろそろ還暦だしね。」
他愛もない会話をしていればすぐに目的地へと到着し、さっさと用事を済ませてしまう。
「あ、あった。」
「8枚入り……だいたい5個くらいあれば足りるか?」
「んー、でももう学校にないらしいし…多めに買っといたら?」
「じゃあ10。」
「そうね。」
10個を一気に手に取ってレジに向かい、会計を済ませてスーパーを出た。
「ふー。もうすっかり暗くなってきちゃった。」
「とっくに17時回ってるしな。」
「仕事終わらせたら18時余裕で過ぎるよね。」
「そうかもな。」
淡白な会話だが、長い付き合いだとそんなのは気にならない。
俺は自分から話す人ではないから、黙っていても堀田は勝手に喋ってくれるし一緒にいて楽だ。
