20分くらいプリントの問題に格闘し、シャーペンが残りわずかなことに気が付いた俺は、新しい芯を筆箱から取り出した。
シャーペンの先から指で押さえつけて挿入しようとしたその時、勢い余ってシャー芯が指に食い込んだ。

「って…。」


小さく声を漏らし、やってしまったと思った。
地味に痛く、地味に血が出ている。

………どうしよ。
まあ、問題はあと2問で終わるし…。

保健室で絆創膏を貰いに行こうと思って席を立ち、教卓に座っている梅の方に向かい声をかける。


「先生、シャー芯が指に食い込んで血が出たんで保健室いってきやす。」


「おぉ、大丈夫か?だったら、ついでに堀田の様子もちょっくら見てきてくれ。あいつが保健室行くなんて珍しいからな。」

「了解っす。」


堀田はああ見えて、真面目で勉強もしっかりするいわゆる、「優等生」だ。

まあ、いつも元気だけが取り柄で笑顔ふりまくっている人が保健室で休むなんてそりゃ心配もするよな。