早めに着いてしまったが、美術室に入り自分のスケッチブックを取りに行って定位置に着席する。
うちの美術部は基本的に自由な部活なため、こうしましょうとかあれやりましょうとかは特に無いが、毎回先輩が決めるテーマを描く。そして描いた作品を先生に見せてアドバイスをいただくという楽な活動だ。
しかし、今日はテーマの決まりは無く、好きなように描いていいらしい。
何を描こうか…。
少し悶々と考えてから、ふと昨日の堀田を思い出す。
顔を伏せ、俺の存在にも気がつかずただ泣き続ける堀田。
俺は、無意識に手を動かしていた。
「月斗は、今日は何を描いているの?」
再び急に話しかけられ、驚いて振り向くと少し遅れて部活にやって来た春日が立っていた。
「春日か。」
「ごめん、驚かせた?」
「や、平気。」
急に話しかけられてかなりびっくりしていたが、話を続けるために平然を装う。
周りを見ると、いつの間にか部員がもう集まっていて、随分と集中して絵を描いていたみたいだ。
「これは、千星かな?」
「え…」
そう言われてさっきまで集中して描いていた自分の絵を見る。
俺は無意識に、昨日の堀田の姿を絵にしていたみたいだ。
昨日の、顔を伏せて泣いている堀田。
「あれから話せた?」
「全く…どうすればいいのかわからなくて。」
「そっか。」
「ま、もう少し考えるさ。」
春日は、そっかとまた同じ言葉を言い、自分のスケッチブックを取りに行った。
うちの美術部は基本的に自由な部活なため、こうしましょうとかあれやりましょうとかは特に無いが、毎回先輩が決めるテーマを描く。そして描いた作品を先生に見せてアドバイスをいただくという楽な活動だ。
しかし、今日はテーマの決まりは無く、好きなように描いていいらしい。
何を描こうか…。
少し悶々と考えてから、ふと昨日の堀田を思い出す。
顔を伏せ、俺の存在にも気がつかずただ泣き続ける堀田。
俺は、無意識に手を動かしていた。
「月斗は、今日は何を描いているの?」
再び急に話しかけられ、驚いて振り向くと少し遅れて部活にやって来た春日が立っていた。
「春日か。」
「ごめん、驚かせた?」
「や、平気。」
急に話しかけられてかなりびっくりしていたが、話を続けるために平然を装う。
周りを見ると、いつの間にか部員がもう集まっていて、随分と集中して絵を描いていたみたいだ。
「これは、千星かな?」
「え…」
そう言われてさっきまで集中して描いていた自分の絵を見る。
俺は無意識に、昨日の堀田の姿を絵にしていたみたいだ。
昨日の、顔を伏せて泣いている堀田。
「あれから話せた?」
「全く…どうすればいいのかわからなくて。」
「そっか。」
「ま、もう少し考えるさ。」
春日は、そっかとまた同じ言葉を言い、自分のスケッチブックを取りに行った。