次の日。

俺はとりあえず、いつも通り過ごして堀田の様子を伺うことに決めた。



「はよ。」



「おはようー。」



いつもより早く来ていた堀田に挨拶をし、席に着く。






「月斗、今日ってなんか小テストあったっけ。」



「えっ。」



今日使う教科書をしまい終わってボーッとしていたところを突然話しかけられ、心臓が跳ね上がった。



「そんなにびっくりすることなくない?!」



そう言って俺を小馬鹿にしたように笑う堀田。その顔は、少し疲れているようで顔の下の隈が酷かった。



「昨日すぐ寝ちゃってさ、今日の準備何もしてないんだよー。」


「……今日は特になんもないよ。」


「ほんと!あー良かったー。」










すぐ寝た、というのはわかりやすい嘘だ。




俺は、人よりも人を観察してしまう癖があり、人の目を見る能力にはかなり自信がある。











堀田はもともとわかりやすいやつだった。
素直、という春日の言葉を思い出す。



ほとんどの人たちがもう5年も付き合っているわけだから、お互いがどういう性格なのかどんな趣味をもっているのかそういうことはわかる。
しかし、一人ひとりがもっている悩みや不安は部活動やクラスでのグループなど深い関わりしか持たない限り多分わからない。







でも、例え深い仲でも堀田は決して見せない。







俺は何となく、堀田はある意味闇が深そうだと勝手に思っていたがあながち間違っていないのかもしれない。






どう話を切り出そう…。








悶々と考えているうちに、あっという間に放課後がきてしまった。

今日は部活の日なので、あまり気は乗らないが美術室に足を向ける。