「宮本さんは何に対しても一生懸命ですね」
「そう……でしょうか?」
「僕は人と接するのが苦手なので、宮本さんのように喜怒哀楽がはっきりしている方に憧れます」
市川さんに憧れるなんて言われたら動揺する。口に入れた漬物を吹き出すところだった。王子に漬物をぶっかけるなんて申し訳なくて心臓が止まってしまう。
私が食べ終わると市川さんはテーブルに置かれた伝票をさっと取ってレジに持っていく。
店員さんに「お会計は別けますか?」と聞かれると「一緒で」と答えて財布を出した。
「自分の分は払います!」
「大丈夫ですよ。僕が」
「でも……」
市川さんは私がお金を出そうとしても受け取ってくれなかった。
「ごちそうさまです」
「いえ」
お店を出て一歩先を行く市川さんと無言で会社に戻る。
玄関ホールでエレベーターを待っていると市川さんが突然口を開いた。
「宮本さんは明るい男性の方がいいのでしょうか?」
「はい?」
質問の意味が分からなくて首を傾げた。
「丹羽さんに宮本さんの前ではもっと笑った方がいいと言われました。宮本さんは僕が無表情だと怯えるからと」
「え……」
丹羽さん! なんてことを言ってくれたの!?
「宮本さんは表情が豊かな方なので、同じように感受性が豊かな男性が好みですか?」
「あの……」
どうしよう……こんな質問されると思わなかった……。
エレベーターが下りてきてドアが開いた。市川さんはドアの端を押さえて「どうぞ」と私を先に中へ促した。
「ありがとうございます……」



