「車、貸して。」と、Mちゃんに言われ、車を貸した、翌日…。
 昼頃に、あたしの車に乗って、Mちゃんが来た。
 そして、あたしに一言。
 「乗って。」
 我が物顔で言うMちゃんに、あたしはイラっときた。
 「(これ…、あたしの車…!!!)」
 とは言え、車を返してもらうのに、Mちゃんを送っていかなければいけないので、車に乗った。
 「はい。
行くよ!」
 そうMちゃんに言われ、Mちゃんは、車を走らせた。
 だけど、車は、Mちゃんの家と反対方向に向かって進んでいく…。
 「(あたしは、どこに連れて行かれるの…?)
(YTが居るから、ここに居たいんですけど…。)」
 不安になった、あたしは、Mちゃんに聞いた。
 「どこに行くの?」
「滋賀県。」
「滋賀〜っっ!?」
「そう!!
琵琶湖に行くよ!!」
「琵琶湖〜?!!
なぜ、琵琶湖?!!
しかも、今から?!!」
「いいから!!
行くよ!!」
 完全なる、連れ去り…。
 「(今から滋賀って、高速使わないと、真っ暗になるのでは…?)」
 そう思ったけど、Mちゃんは、高速を使わなかった。
 出るのが遅い上に、高速を使わなかったので、琵琶湖に着いた時には、日も暮れてしまっていた。
 観光地だから、街灯くらいあるのかと思ったけど、何もなくて、真っ暗だった。
 唯一の明かりは、一台の自動販売機の明かりだけ…。
 自動販売機の明かりじゃ、何も役に立たず…。
 どこから、湖なのか、琵琶湖自体見えなくて、全然、分からなかった。
 そんな、琵琶湖を、あたし達は見た…。
 「(これが、琵琶湖?!!)
(街灯ないじゃん!!)
(見れないじゃん!!)
(観光地なのに…。)」
 あたしは、ショックを受けた。
 「何もせずに、帰るのも…。」と言うことで、温泉探しを始めた。
 探してみたら、近くに、温泉があったので、そこに行ってみた。
 行ってみると、看板が出ていたが、「(どうせ、刺青とタトゥーのことだろう。)」そう思って、看板をスルーして入った。
 「(このまま帰るのも…。)」
 そう思い、Mちゃんが、探してくれた、温泉に入るっことにした。
 温泉では、なぜか、地元の人たちは、内湯に入っていて、県外からの人が、露天風呂に入っていた。
 その県外の人達が出ると、あたしだけになり、露天風呂を満喫していた。
 「(わーい!!)
(貸切〜!!)
(最高っっ!!)」
 あたしは、1人、るんるんで、温泉を出た。
 温泉から出て、看板を、よくよく見てみた。
 看板には、こう書かれていた。
 「3日前に、熊が出没しました。
気を付けて、ご入浴下さい。」
 これを見た瞬間、背筋が凍った。
 「(熊?!!)
(だから、露天風呂、誰も居なくなったんだ…。)
(あたし、もしかして、危なかった…?)」
 そんな事を考えて、車に乗った。
 「(もう、帰るかな?)」
 そう思っていたけど、Mちゃんは、違った…。
 そのまま、なぜか、大阪に向かった。
 大阪には、激安ホテルが、並んでいる地区があって、Mちゃんは、そのホテル御用達らしく、いつもそこに泊まっていると…。
 そのホテルは、あたしが思っている、ホテルとは、全然、違った。
 まず、部屋に、トイレも、お風呂もなく、共同トイレに、共同シャワー…。
 勿論、ルームサービスなんてないし、ホテル内に、レストランもなかった。
 但し、持ち込み可能だったので、コンビニで、ご飯を調達して、ホテルの一室で、食べた。
 「(この世の中に、こんなホテルがあるなんて…。)
(これが、ホテル?)」
 ってな感じだった。