学校への道のりは特に話をすることもなく、隣を歩くだけだった。







「ちょっとー、夏生!どうしたの今日の朝!!」





自分の席に着き、カバンを下ろしたタイミングで智美が勢いよく話しかけてきた。





「どうしたのって何が?」



「何が?って。朝、“あの”楓くんと登校してたでしょ!」



そのことか…



「あぁ、家が同じ方向みたいで、偶然ね」






一緒に登校すると決まった時に、一応「家が同じ方向で、偶然」と口裏を合わせておいた。




「えー、なんか怪しいなー」



疑いの目で私を見つめる智美。
 




「それよりさ!今日はお母さんが迎えだから、ここ行こうよ!」




話を変えるために、前々から行きたいと話をしていたお店の話を切り出す。