柴原さんは以前、私と家族になりたいと言っていた。私も将来的には……なってもいいかなって思っていた。

何だかまたモヤっとする。

そんな私の考えを見透かしたかのように、柴原さんは意地悪な笑みを浮かべた。

「美咲は俺と結婚したいの?」

「……いや。」

私の返事に妙な間があったのを察知して、柴原さんはクスクスと柔らかく笑う。

「相変わらずツンデレだね。」

すぐにそっぽを向いたけれど、少し赤くなってしまった頬を見られたかもしれない。
くそう、悔しい。

「……早くごはん食べてよ。」

そっけなく言ったのに、柴原さんは優しく頭を撫でてくる。

「はいはい。わかったよ。」

そう言って、ダイニングテーブルに置いてあるラップのかかったおかずをレンジにかける。

「今日も美味しそうだなぁ。美咲、いつもありがとうね。」

「……別に。」

私はそっぽを向いたまま、可愛くない返事をした。