ハツコイぽっちゃり物語


「ちょちょちょ、ちーちゃん!?なんで言ってくれなかったの!?ずっと恋ちゃんのこと好きだったの!?」


私、自分のことばっかで全然気づかなかった。
ちーちゃんが恋ちゃんを好きだって知ってたら協力してたのに……。


「ごめんごめん。千桜そんな顔しないで。いーのよ私の恋事情なんて。今となっちゃ私も幸せ……だし。私は千桜の恋を応援してたんだから」


そう笑ってるけど、私にとっては大問題なわけなんだよ。力になりたかったよ。
ひとり落胆しているとちーちゃんが私の頭を撫でた。


「まー向こうは千桜が好きだったからねぇ。告白するのはもっと後だと思ってたんだけど。意外とすぐ出来てびっくりしたわけよ。あ、授業始まる」


話はまたあとでね、と耳打ちされて前を向く。
突然始まった小テストにあまり集中できなかった。
考えちゃって。


私が先輩に恋している時、ちーちゃんも恋をしていたんだ……。
ちーちゃんは恋ちゃんが私のことを好きだって気付いてた。
私はちーちゃんのこと何一つ気付いていなかった。


『いーの』と言っていたけど、親友としては情けないよ。私は親友失格だ。


……なんて思ってたら逆に怒られちゃいそうだよね。


ちょっと涙ぐんだ目元を拭って解答用紙と向き合った。