「あっ米倉さん」


改札口を通ったあと、何かを思い出したかのように声を張った先輩。
はい、と返事をすると私をじっと見た。


なにを言われるのだろうとちょっと心が踊る。
そして、恋愛小説脳が発動する。
先輩の言葉を待ちながら勝手に妄想を膨らまして――。



「ちゃんと食べよっか」

「……?」

「米倉さんのこと心配してたよ。霧山くん……だっけ。幼馴染くん」

「え、でもこれは……」

先輩のために……。


「うん知ってる。でも無理してまで痩せることないと思うよ。変わらなくていいんだよ。俺はそのままの米倉さんを好きになったんだから」

ね?とふわり笑いかける先輩に思わず抱きついちゃいそうになる。
なんで先輩はこんなにも優しいんだろう。