ハツコイぽっちゃり物語


幸せを感じすぎて、宇宙から戻ってきた私は遅れて返事をすると、ほっとしたように笑って頭を撫でた。


その手の温もりにへにゃ〜と頬が緩みそうになるのを堪えようとするけど、己の意思は馬鹿正直みたいで先輩は私を見てククっと喉を鳴らして笑う。


う、……変な顔見られちゃった。
でも先輩が笑ってるからいいかな。


ああ、この笑顔大好き。
ずっと好き。



「先輩が好き」



ハッとした時にはもう遅くて先輩と目が合う。
今のは恥ずかしかったと私から逸らした。
だって心の中で言ってたと思ってたんだもん。
無意識にも程があるよ……。


でも、言えた。『好き』って。
こんな形で言うつもりじゃなかったけど。
ちゃんと伝えられた。


帰りは先輩と一緒。


ちーちゃんからはLINEで【先に帰ってるからあとで話聞かせてね】とあった。
文からでも分かる。だってちーちゃん読みが鋭いから。


なんか改めて実感してしまって逆にもっと緊張してしまう。


何も話さずただ隣を歩いているのは今までとそんなに変わりはないけれど、些細なことでドキドキして、さまよった視線が先輩をとらえた時、私を見て微笑んでいる先輩にさらにドキドキ。


駅まで互いに距離を保ちながら、けどたまに肩が触れて胸が弾んだり、コンクリートに伸びる私たちの影にドキドキした。


もうドキドキが止まらない。


この影は毎週金曜日に見ていた光景だけれど、今日は一段と特別に感じた。