ハツコイぽっちゃり物語


ちーちゃんと別れ、帰宅した私たち。

「お邪魔します」と律儀に言って上がる恋ちゃんはそのままリビングへ歩んでいった。

私も彼を追うように家に入る。


ソファーに迷わず座った姿をみて「何か飲む?」と聞くと少し考えてから「お茶でいい」と言った。

2人分のお茶を注いで、恋ちゃんの元へ。


「恋ちゃんまた喧嘩したの?」

「別に喧嘩じゃない。けどなんか嫌だ」

「だめだよ嫌なんて言っちゃ」

「でた。千桜のお節介」

聞き飽きたかのようにため息をわざとする彼はソファーに大きく寄りかかった。


一応、家に帰りたくない理由を聞いてみると“うるさい”からみたい。
その一点張りだ。

もー。なんでそんな態度なの。
恋ちゃんのこと心配してるんだよきっと。

恋ちゃんのお母さんはとても元気でかっこいい。そして美人。

私が恋ちゃん家を訪ねると必ずでてくるお饅頭。
大好物が餡子だと知ってからはいつ来てもいいように常備してるんだとか。

これは恋ちゃんから教えてもらった話。

とても親切で気さくだからとても話しやすい。
付き合いが長いってのもあって、もう友達みたいにも思えてくる。

そんな素敵なお母さんなのに。

恋ちゃんはこんな素敵なお母さんを嫌いだなんて……。