【3-5】と表記されてる教室札を確認して、半分開いているドアから中を覗いてみる。


居るかも分からんのに気持ちが先走って、ここまでやって来た俺は自分でも驚くほどの行動ぶりに称賛したい。

自分でいうのもなんだけど意外と俺ビビリだからさ……。


恵にはあんな事言ったけど実際は怖かったっていうのが本音。告ったとしても千桜が俺の事好きとは限らないし、ましてや付き合ってくれるとも限らない。だったら“幼馴染”のままでいいんじゃ……とか考えてたらこうなってるし。


焦りもあるけど半分はやけくそだ。じゃなきゃこんなことになるはずがない。てかこんな感情で動いてるなんてカッコ悪すぎだよな。


でも千桜は誰にも渡したくない。だから――。



中には男女数人。

葵生晴(あおいそら)を探しているとその中の1人が俺と目が合った。



「どーしたぁ?誰か探し中?」

「……あー、葵生先輩っていますか」

「葵生?……あー晴なら多分図書室だと思う」


ハッ、図書室かよっ。
そう胸の内で悪態をつく。


赤毛の人に一応お礼を言うと軽めの返事が返ってきた。


あーー……緊張した……。


3年との絡みなんて全くないから。ちょっと怖かった。
あの人多分恵タイプだなと思いながら図書室へ足を運ぶと前から「あれ?」と声がした。