先輩を呼ぼうとした時、背伸びをした先輩とちょうど目が合った。
「先輩、もうすぐ――」
『下校時間ですよ』と言おうとしたタイミングで予鈴が鳴った。
「ちょうど鳴ったね。じゃ帰ろっか」
ふわりと笑う先輩に頷く。
もうこの流れは当たり前になって、先輩と2人きりとはいえ、だいぶ緊張することは少なくなった。
帰り支度をしているとヴヴッと音がした。
着信音だと思ってスマホを見るけど私のではない。
じゃあ先輩のかな、そう思ったとき「ゲッ」と言う声がした。
「先輩どうか――わっ」
突然グイッと腕を引っ張られて、視界がグラッと揺らいでカクンと膝が落ちる。
薄暗い景色にここはカウンターの下だと思った瞬間だった。



