ハツコイぽっちゃり物語


「いえっ、ここまでありがとうございます。今日はありがとうございました」

「いや、お礼を言うのは俺の方だよ。ありがとう。気を付けて帰ってね」

「はい……!」


ふわっと笑って手を振る先輩にお辞儀をした。


改札口を抜けてエスカレーターに乗る。
まだ居たりして……と小さな期待がよぎる。
居るわけないと思いつつチラッと振り向いてみると、私に気付いた先輩が小さくまた手を振った。


っ……いた。まだいた……!
もう居ないと思ってた。


慌てて小さくお辞儀をする。


その様子にちーちゃんが何か言いたそうに含みを持った笑みを浮かべて私をニマニマと見て一言。


「やっぱ葵生先輩、千桜のこと好きだよ」