「ふたりとも今日は来てくれてありがとう」
「いえっ、こちらこそありがとうございました。とても美味しかったです!あとパンケーキも美味しかったですありがとうございます」
「よかったぁ。最後に出したやつ、実は新作なんだよね」
サラリと言う先輩はまたありがとうと言う。
その笑顔にズキュンと音を立てる。
ああ……この角度だめだ……死んじゃいそうっ。
先輩の顔を見たいけどすぐ逸らしてしまうくらいだめ。
こんな近くで私を見てるとも思ってしまうと尚更だ。
何度目かの悲鳴をあげる。心の中で。
ほわっとカフェから駅まで10分(※ホームページ上では)足らずだけど行きよりも短く感じた。
行きは滅多に来ない街で、道が分からなくて地図を見て探りながら来たから――と思いたいところだけど……うん、分かってる。
「ごめんね。ここまでしか送れなくて」
改札口で申し訳なさそうに言う先輩。
そんな顔しないで欲しいと私は否定するように手を振った。



