胸の奥が飛び跳ねた。
「いやいやいや、ちーちゃんそんな訳ないよ。たまたまクーポンが先輩の手元にあっただけで、たまたま傍に私が居たから」
だよ。そう、たまたま。
先輩が私を好きになるなんてある訳ないし。
私に魅力なんて微塵も、これっぽっちもないんだよ?
「ちーちゃん冗談はよくな、」
「千桜のそーゆーの良くないよ。そして私冗談言わないし」
ツンとしたトーンで言ったあとばくばくと頬張るちーちゃんに「ごめん」と謝る。
そうだよね。ちーちゃんは冗談なんて言わない。いつも本音でぶつかってくれる。容赦のない言葉にダメージを受けることもあるけど、素直に言ってくれるのは有り難いこと。
なにより私の恋を全力で応援してくれてる。
……ほんと、私ってだめだなぁ。
「私だめだなとか思ってんじゃないでしょうね。あんたはね前より可愛くなったの。もっと自信持て!千桜のその小さなことでクヨクヨしてるのは気に食わないけど、好きなことに夢中になれる千桜が私は羨ましいし、素敵な事だと思う」
真っ直ぐな視線に不意をつかれる。
ぐっと目元に熱いものを感じたけどそこは頑張って堪えた。
「っ、ありがとうちーちゃん」
「分かればよろしい」
得意げに笑った彼女につられて笑みを浮かべながら何度も思う。
ちーちゃんと出会えてよかった と。



