ハツコイぽっちゃり物語


お互い話さないまま学校に着き、教室に入ろうとした時、恋ちゃんが私を呼んだ。

「なに」と顔を見ずに聞く。


「明日でテスト終わりだし、千桜ん家は寄らないから安心しなよ」

そう言って私の横を通っていく。

教室の前で立ちつくす私は先に席に着く恋ちゃんを目で追った。
さっそく友達に囲まれている。

その様子を横目に私は顔を引きつらせる。


……そ、そうだ。
明日でテスト終わりじゃん。
さっき私なんて言ったっけ……。

鮮明に思い出した瞬間ちょっと穴があったら入りたい。
怒りまかせで『明日も来ないで』なんて言っちゃったもんだからこれは例え幼馴染だったから良かったけど、でもこれはこれで恥ずかしい!

本当は言いたかったはず。
明日はテスト最終日だって。
友達と笑ってる恋ちゃんを見ながらそう思う。


自分の席に着いてため息をつくと後ろからちーちゃんが「おはよ」と声がかかった。