「もー笑わないでよ千桜ちゃん!……ってこんなん笑うわ」
あははと晴菜ちゃん自身も爆笑するからつられて笑いが増す。
一方葵生先輩は、私たちが作った栞を1枚1枚見ていた。
「2人とも器用だね」
「先輩も作ってくださいよ」
晴菜ちゃんに言われて先輩も栞を作り始めようと椅子を引いて私の隣に座った。
ふわりと石けんの香りが鼻をくすぐる。
平常心でいなきゃと思いつつも心臓は嘘がつけないみたいでドキドキが増していく。
真剣な横顔に見惚れてしまいそうになるから意識をずらして私も栞作りを続行した。
それでも先輩の一つ一つの仕草が視界の片隅に捕らえて、胸のざわめきは治まらない。



