「今日は佐波さん居ないんだね」
「あ、はい。急遽バイトが入っちゃったみたいで」
「そっかぁ。……てことは俺と米倉さんだけだね」
ふわりと笑う葵生先輩。
心の奥で叫ぶ私がいる。
本当に自分がどういう立場にいるのか、何を言ってるのか分かってないみたい。
先輩、あなたはここの生徒(女の子)たちに"図書室の王子様"って言われてるんですよ。
本当にご存知ないんですか。
天然なんですか。
――っだめだ。
これ以上近くにいると心臓がもたないよ。
「米倉さん顔赤くない?」
「えっ、あ、赤いですか」
うわあああむりむり!!!
ちちち、ちかい近いです!!
思わず顔を隠すように両手で自分の頬を覆う。
たしかに熱い。
でもそれは全部先輩のせいだよ。



