「それにまず私と先輩じゃつり合わないし。ほらだって私こんなんだし絶対無理だよ」
太ってる私とじゃつり合うはずがない。
先輩は人気者で王子様的存在。
そんな素敵な人の隣に私が――って考えただけで恥ずかしい。
そう思っただけで笑ってしまう。
「じゃあ、告りもしないの?」
「うん。しないよ」
即答すると彼女は「そっか」と呟いてコーヒーパックにストローを注した。
納得してないようなその表情をよそに私もペットボトルの蓋を開けて麦茶を飲む。
ちょっとした沈黙には不快感はない。
けど、なんだか緊張感が押し寄せた。
ストローから口を離した彼女と視線がぶつかる。
「最近の千桜は可愛くなったと思うよ。だからさ、自分をこう、蔑むんじゃなくて、自信は持っててもいいと思う」
「……ちーちゃん……」
「別に好きだから告れとは言わないよ。ただ千桜はもう少し自分を尊重してもいいと思っただけ」
そう言ってお弁当を片付けるとそそくさと自分の席に戻ってしまった。
後ろを振り向けばちーちゃんと目が合う。
くりっとした目は『こっちを見るな』と言わんばかりに細められるけど
怖くも痒くもない。
照れてるちーちゃんがかわいいから。
「ありがと」と言えば、顔を引きつらせて私を追いやろうとするからさらに笑顔が溢れてしまう。
ちーちゃんと友達になれて本当に良かったと改めて思ったよ。



