ハツコイぽっちゃり物語


「今のは絶対惚れたねぇ」

うん。否定はしない。
たぶん1年生だろう。

図書室の王子様なんて言われてるけど
本当に王子様のような人。

優しいし、かっこいいし、女問わず人気者で、成績も優秀。

まるで少女漫画からそのまま出てきたみたい。そのくらいほ本当にパーフェクトな人。


そんな素敵な人と一緒に活動出来てることに奇跡を感じるよ。ありがとう神様。



「じゃ、またねー」

校門を出てすぐ晴菜ちゃんとお別れ。

手を振って私も駅へ向かう。

歩きながら春の生暖かい風を受けた。
ほのかに桜の香りがする。

ああ、春、好きだなぁ。
桜が咲いてる期間が少ないのは切ないけど。

道端に退けられている桜たちをみて思う。


「だいぶ桜も散ってきたね」

「そうですね……――!」

「あはは。ごめん驚かせちゃった?」

な、なんで先輩がここに……。
頷くだけで精一杯だ。

てっきりもう帰ったかと思った。
油断してた。


「急に話しかけてごめんね。ちょうど見かけたから声掛けちゃった。……途中まで一緒にいい?」

「あ、はい」


う、うそーーー。
先輩と一緒に帰るって本当ですか。
私もう今年分の運気使っちゃったんじゃないの。

わあ……この奇跡が怖いよ。

それよりも会話だ。会話。