「千桜帰ろ〜……ってどうしたのその顔」
ちーちゃんは私の顔をみてギョッとした。
「ちーちゃん、どうしよう」
手に持ってるプリントが震える。
私の名前があるその場所に指をさして知らせると彼女は「おお!」と声をあげた。
「やったじゃん」
「やったじゃんだけど、そうじゃないんだよーどうしようこんな簡単に願いって叶っちゃうもんなのかな!?」
「現に叶ってるんだからそうなんでしょ。やったじゃん。素直に喜びなさい」
ニカッと笑うちーちゃんはさらりと素敵なことを言った気がするけど、素直になんて喜べないよ。
「嬉しくないの?葵生先輩だよ?好きな人でしょ」
「ちょ、声が大きいよっ」
「いいから素直に喜べ。喜ばないとずっと大きな声で言うよ――」
「わかったっ!喜ぶからっ喜びますよ……」
語尾が小さくなった私にメンチ切ってくる彼女はかわいい顔がひどく歪んでる。
体を使って喜びを表現すると元のかわいい顔に戻ったのをみた。
「さ、帰るよ」
「……ちーちゃん、もうそんな顔しちゃダメだからね」
“え、なんで?”と彼女は面白おかしそうに笑ってるのを目にして思う。
今後、先輩絡みでなにかしてきそうだなと。



