ハツコイぽっちゃり物語


「ごめんね。こんな所まで来させちゃって」

「いえいえ!大丈夫です。逆に良かったです。もう一度話すことが出来たので」

「そう?なら良かった。それじゃ、頑張ってね」

「……っ、はい!」


先輩は私を見送ってくれるらしい。
私が見送る立場なのに。

それでも先輩はその優しい眼差しで私に手を振って見送る。

もう一度“ありがとうございます”とお辞儀をして、私は走った。



もう帰ってしまったかもしれない。
すれ違う生徒をみて思う。

居て欲しいと思いつつ、居なかったら家に押し込んじゃおうと思った。
自然と笑顔になる。


走ってはいけないと思いながらも“急げ”と気持ちが先走る。
渡り廊下を駆けて、階段を駆け上がる。


息がくるしい。でもっ。
私は伝えるんだ今日――。



「まだ居るよ教室!」


ちーちゃんの声だ。いつの間に……。


ごめん!全然気付かなかった!と心の中で謝り、ありがとう!と頷いた。


自分の教室まであともう少し。
徐々に近付いてくる教室に心臓が激しく鳴る。

そして、たどり着いた教室の前で深呼吸をした。