《最後に。まだまだ先は長いです。これから先、楽しいことばかりが待ち受けているとも限らない。辛くて悲しくて、怒りに満ちてしまうことの方が多いかもしれない。でもその中にちゃんと幸せと感じる瞬間もあると思うから。小さくてもいい。見つけて欲しい。俺はまずひとつ見つけることが出来たから、きっと皆も見つけられると思います》
先輩はこの場にいる全員を見て優しい眼差しを向けている。
それから1歩引き下がって深く頭を下げた。
その瞬間、大拍手が湧いた。
中にはすすり泣いているような声も聞こえた。
先輩らしい優しさのこもった言葉にきっと胸を打たれたのだろう。
私もその内の一人だ。
先輩が着席をするまでそれは鳴り止まなかった。
着席してもなお、あらゆる包囲からもみくちゃにされてる先輩を見て私はクスッと笑みをこぼす。
「……先輩、やるね」
「うん」
ほんと。
こんなところであんな話しなくてもいいのに。
あとで先輩に会いに行くつもりでいたから、その時に言ってくれればよかったんじゃないかな。
そう思いつつ、頬は緩んでいく。



