ハツコイぽっちゃり物語


校門を出てすぐ佐波さ……じゃなくて、晴菜(はるな)ちゃんとさよならをした。

夕陽と向かい合わせになりながら坂を下る。

今日はとても素敵な日だったなぁ。

新しい友だちも出来たし、
なんといっても、先輩の顔を間近で見れちゃったんだから。

思い出したらつい笑みが溢れてしまう。

もう今日はずっと夜までずっとこんな感じなんだろうなぁ……。

見上げた空は鮮やかなオレンジ色で星なんてまだ全然見当たらない。

けれど、願ってしまう。

シフトが偶然でもいいから先輩と一緒にならないかな――って。


「……なりたいな」


――もっと、葵生先輩に近づきたい。

だなんて欲張りすぎだよね。


第一、こんな私じゃ近づくことすら……。


っていっても私は私!だからね!

まぁ、確かにぽっちゃりより大きめだけど
恋したって罰がくだされるわけでもないんだし。

この初恋を私は大切にしたい。