だから言ったじゃん。
私はお母さんと寝たいって。
再び恋ちゃんに目を移す。
夢の中の恋ちゃんは黒髪だったけど、今は暗めのブラウンだ。
恋ちゃんは高校生になってからは色んな色に染めてた。校則が緩いから先生にも指摘されないからいいよねってよく話してたなあ。
寝顔を盗み見してる訳じゃないけど、こう見てもやっぱ綺麗な顔立ちだなって思う。
よく女の子に間違えられてたっけ。その話すると口を尖らして怒るんだけど、可愛いって思っちゃうんだよね。
つい口を滑らしてそう言うともっと拗ねちゃうとこも可愛い。
恋ちゃんは男の子なのに可愛い。
けど、かっこいい所もちゃんとあるんだよ。
スポーツも軽くこなしちゃうし、
勉強して考え込んでるとこも、
料理してる姿も、
少し上目遣いで見るふとした仕草にも。
私は、ちゃんと見てた。恋ちゃんのこと。
本当はずっと好きだった。
ちゃんと“男の子”として意識してた。
でも、聞いちゃったんだ。恋ちゃんに好きな人がいるって。



