『れんちゃんがすきだよ』


そう言い終えた私は照れたように、そして嬉しそうにニコニコしている。

一方、恋ちゃんはびっくりした顔を一瞬みせて、それから『ぼくもだいすき』と笑って言った。


いつの間にか私の目の前に幼い恋ちゃんがいた。
自分の手を見ると小さい。
今の私は幼い千桜(わたし)になっていると気付く。


色白でかわいい顔立ちの男の子が私を見て笑っている。かわいいなぁ、なんて思いながら私も笑い返すと顔を近づけて頬にキスをした。


思わずびっくりしてその場で固まっていると恋ちゃんが口を開く。


『おおきくなったら、ぼくとけっこん、しよ!』


け、結婚!?この歳でそんな言葉が出てくるの!?
そんなやくそく……。


『うん!けっこん、する!れんちゃんとけっこんする!』


そう言ったのは紛れもなく自分。


そっか。これは『記憶』なんだ。
私がずっと忘れていた記憶。そして忘れていた約束。

でも……。