俺は変態なのかもしれない。
変態じゃないとしたら今俺がしようとしているこの状態になんて名前を付ける?


寝込みを襲うという頭はないけど、この寝顔を再びみて隙あらば――なんてことを思っている自分が怖い。


隙あらばってなんだ。
でも……。


右頬にゆっくり顔を近づける。


動くなよ。起きるなよ。と恐る恐る念じながらゆっくりと近付く。


ふにっと柔らかく触れた。
千桜の頬は冷たかった。



「ごめん」



彼氏がいるって分かってても好きでいてごめん。
諦めが悪くてごめん。
別れろなんて思ってごめん。
邪魔してごめん。


米林と付き合ってるなんて嘘。
千桜に振り向いて欲しくて協力してもらったんだ。
でももう潮時だよな。わかってる。
千桜は先輩が好きなのもわかってる。


それでも分からないふりをした俺は、再び口づけた。千桜の口元に。


触れた唇は柔らかかった。