「てことだから。よろしくね」
「あ、ちょっと……」
はあ、行っちゃった。
もういいや。そんな深く考えることないもんね。うん。そうだよ。幼馴染だもん。
小さい時は毎日のように一緒に寝てたし!大丈夫大丈夫。
ってなるか!!!
全然っ、大丈夫じゃないよ!!
あーーっもう!
恋ちゃんが私の部屋に来るんだよね。え、どこで寝るの。私のベッド?いやいやそれは無い。そんな事はないよ。大丈夫。恋ちゃんはお布団で寝る。そうだよね……?
お母さんたちの方に目をやるとお笑い番組を見て笑っているのが見えた。
恋ちゃんも楽しそう。
久しぶりだな、こんなに笑ってる恋ちゃん。
先輩とは違う笑い方。笑う時はふわりじゃなくて、ニカッて感じ。今は大爆笑中だけど。その笑いっぷりは伝染させるくらい思いっきり笑うの。
私の大好きな笑顔なんだ。
――っ。
だめだ。お風呂入ってこよ……。
何度考えたって同じことばかりループする。
葵生先輩が好き。それは変わらない。それなのになんで恋ちゃんが気になってるの?
それとも本当は恋ちゃんが好き……なの?
……ねえ。好きって、なんだっけ。
お風呂から上がっても笑い声が聞こえて、いつ寝るんだろうなんて思いながら眠気が増してきた私はそそくさとベッドに潜り込んだ。
その前にあと1分で年が変わることに気づき、急いで先輩のLINEを開いて、新年の挨拶を少し震える指に思いを込めて送信した。