ハツコイぽっちゃり物語


「――手元のプリントを見てください」


新学期が始まってから1週間が経った。

そして今日。
待ちに待った委員会の集まりだ。


手元のプリントに目を通しながら私の心はドキドキとリズム良く鼓動している。

耳が心地よくて、授業よりも聞き入ってる気がするのはなぜか。

それは好きな人の声だから。

耳の集中力が途切れない。


視線を葵生先輩に向けると偶然、目が合った。

その途端、急激に胸のリズムが加速する。


――っ!
わあああっいま目が、合った!?
あ、合ってしまった……!

キャー!
と心の中で叫ぶ私は本当に恋をしてるんだなと思う。

咄嗟に視線をプリントに移すと葵生先輩から司書の松原さんに代わった。

はぁー、と息をついたのは
残念な気持ちとほっとしたから。

顔に手を当てれば茹でられたみたいに熱かった。