ハツコイぽっちゃり物語


それからは休み時間になる度にちーちゃんからちゃんと続きを聞いた。


付き合い始めたのは1週間前。
つまり、私と葵生先輩が付き合うことになった日。


なんで今日報告してくれたの?と疑問を投げると彼女は『だって幸せそうな千桜にこんなこと言ったらちょっと言いにくくなった』と笑ってた。


私は前のめりに『何言ってるの!そんな事気にしないで言ってよ!』と怒り気味に言うと『だって千桜に振られた直後だよ?なんか狙ってた感ない?』とまた笑うから『そんなことない』と強めに伝えた。


でも、逆だったら私もちーちゃんみたく様子を見てから報告するのかな。


仮に好きな人が親友を好きで、その人が親友に振られてその直後に自分と付き合う……。
しかも同じ日に。


……考えてみたらなんかすごいね。
ちーちゃんも辛かったんだろうな。好きな人が違う人を想ってることを知って、恋をしていたんだ。私だったら泣いてる。耐えられそうにないもん。


そっか。恋ちゃん私のことを好きだったんだ……――ッ。


…………。


なんか、いま、ズキってした。
なにいまの。

胸に手を当てるとドクドクとリズム良く振動が伝わってくる。


心做しかスピードがいつもより速く感じるのは気のせいかな。