人混みの真ん中に移動したから、押しつぶされそうになる。


我慢してじっとその場で動かずにいたら、


視界に、目立つ金髪が飛び込んできた。




……あ、高野くん。


今日もバイトなんだ。



私は高野くんの後ろにいたから、高野くんは私に気付いてない。おまけにイヤホンしてるみたいだから、呼んでも気付かないだろう。


こんな人混みの中、わざわざ高野くんの前まで移動するのも迷惑だろうし。


話せないのは寂しいけど、どうせ私から話しかける度胸もないし…。


そのまま気付かれないように、気配を隠した。