電車が止まって、高野くんが電車を降りようとする。
高野くんの背中を、土曜日みたいにまた見送ろうとしてしまったけど、
土曜日の後悔を思い出して、「高野くん!」とその背中に声をかけた。
「ん?」
「…い、いつか行きたいから、
行く時連絡していい!?」
「おー。いいよ。
じゃあグループから勝手に友達追加しとくわ」
それだけ言うと、「じゃな」と小さく手を振って電車を降りていった。
……まじか。
高野くんから追加しとくって言われるとは…。
あまりに自然に言われて、ど緊張してた自分はなんだったんだ。
やっぱり高野くんからしたら、単なる“友達”なんだろうな。
「しーーーちゃん♪」
「うわぁ!!」
高野くんの余韻に浸ってたら、隣から由奈ちゃんの声がしてハッと我に返った。
しまった…完全に由奈ちゃんのことを忘れていた。
チラッと由奈ちゃんの顔を伺うと、
由奈ちゃんの頰がゆるんでいた。



