クス、と笑うと、「まーね」って誇らしげな声が返ってきた。


あ、私今、


高野くんと自然に話せてる。



「今度来れば?」


「え?」


「奢んないけどー」



高野くんが意地悪な笑みを浮かべた時、次の駅に止まるアナウンスが流れた。



「俺次で降りる。
その駅の前にある喫茶店でバイトしてるから」


「奢ってくれないなら行かない」


「現金な女だな」



本当はめっちゃ行きたいけど。


意地を張るのがクセになってるんだ。


素直に行きたいって言えばいいのに。


いつも、言ってから後悔するんだ。



高野くんが、


『じゃあ奢るから来て』って言ってくれないかなって期待してるけど


そんなこと言わないじゃん。言うわけないじゃん。言ったのは『現金な女』だよ。印象最悪かよ。


脈ナシってのを突きつけられるだけなんだよ。なのになんでいつも素直になれないんだろう。


こんな浅い駆け引きなんて、高野くんには通用しないね。