そうそれ。
それが怖くて、誰にも言えなかったんだよね。
「……由奈ちゃんは、すごいね。
それ、経験してるんだ」
「うん。
だから、その時好きだった人のことも、全然綺麗な思い出じゃないんだよね」
「由奈ちゃん…」
びびって逃げてる私とは違って、由奈ちゃんはもう経験してるんだ。
私よりきっと、“恋”っていうのがずっと苦い思い出になってるはず。
それでも前向きで元気な由奈ちゃんはすごいなぁ。
「あたし、しーちゃんは間違ってないと思う」
「ん?」
「誰にも話さなくて正解だよ。
だからまだ、綺麗な思い出のまま好きでいられるんだもん」
「せめて、本人に告白くらいはしとけばよかったかなとは、思うけどね…」
「それ一番ハードル高いから!」



