素直になれない高野くんと素直になりたい私。




「あー…」


「ご、ごめんね…!
クリーニング代払う…!」


「いいよ別に。こんくらい。
それに、なんかエッチじゃん」



ちょっと楽しそうに、リップがついた部分を引っ張って見てる。


たしかに…ワイシャツに口紅とかよくあるけど…!


こんなくっきりつけてしまうのは、逆に恥ずかしい。



「や、やっぱり申し訳ない…!」


「いいってば。
俺のために頑張ってるメイクで、嫌な思いさせたくないんですけど」


「……!」



俺のために頑張ってるメイク、だって。


そうだけど…そうなんだけど…!


高野くんに、バレてた…。



「……た、高野くんのためじゃないし!」


「え、そうなの?」


「(嘘、めっちゃ高野くんのためです)」