こういう時に断ると、やった方がいいに決まってる!って演説みたいなのが始まるから、ちょっとめんどくさい。
ここは大人しくメイクされるしかない。
「ねぇ、今日あの赤いリップ持ってる?」
「持ってるけど…」
「それ使おう」
ええ?
制服にあれは、ちょっと大人っぽすぎて苦手なのに…。
「あんま派手すぎないようにするから!」
山西さんにパパッてメイクされて、
相変わらずの手際の良さにほぉ…と息を吐いた。
完成して、渡された鏡を見ても、
たしかに私が前に使った時より浮いてない気がする。
「唇全体に塗らずに、
内側にちょんちょんってやっただけだから。
擦ったりして伸ばさないようにだけ、気をつけてね」
「うん」
これくらいなら、普段使いしてもいいな…。
やっぱり山西さんにまだまだ教えてもらわなきゃ。



