素直になれない高野くんと素直になりたい私。




「『本当に好きな子には、“ブス”って言ったことない』って言ってた」


「…?
だから、三澤にブスって言ったことないじゃん」


「言ってたよ!?」


「はぁ!?
言ってねーよ!」


「言ってた!
小6の時、トイレ掃除してる時に、
男子トイレの方から女子トイレに向かって『おいブス!』って言ってたよ!?」


「はぁ?
それ佐藤のことじゃん!
三澤のことじゃねーし!」


「佐藤さんのことだとしても『ブス』はひどい!」



高野くんに後ろから抱きしめられたまま怒ってたら、


高野くんが、私の肩に額をくっつけた。



「……たしかにひどかった。
三澤に男心わかんねーとか言いつつ、俺だって女心全然わかってなかった」


「……うん」


「…覚えてるってことは、嫌な思いしたってことだよな。ごめんな」