「……こっち、どうぞ」



その高校生はこっちに体を寄せてきて、低いつり革の方の場所を空けてくれた。


うわ…


優しい人…。



「ありがとうございます…」



空けてくれた場所に移動して、つり革をぎゅっと握った。


……さっきまで、この男の人が握ってたんだ。


こういうのに潔癖はないけど、なんかドキドキする。


チラッと、譲ってくれた高校生に目を向ける。


金髪で、シャツはズボンから出してて、ちょっとやんちゃそう。


髪から覗いた耳に、ピアスが付いてる。


やんちゃそうなのに、気がきく…


ギャップってやつ?


やだ。ちょっとトキめいちゃった。