高野くんからちょっと距離をとったら、


高野くんの顔が、はっきり見えた。



「……!
高野くん、顔…」


「うるさい。見んな」


「ご、ごめん…」



高野くん、


顔、赤かったよ…?



「夜は、ちょっとだけ涼しいけど、
でも、やっぱり暑いよね」


「はー?
そうじゃねー」


「え…」


「って、否定する方が、恥ずいこと言ってんな」



高野くんが、ぐしゃぐしゃと頭を掻いた。



「……ちょっと座るか」



私が駅の階段の端の方に座ると、


高野くんは私の上の段に座って、私の後ろにいる状態になった。



「……なんで、隣じゃないの?」


「…顔見ない方が、三澤も話しやすいんじゃねーの」



……あぁ。そうかも。


顔見たら、


また嘘ついて、逃げてしまうかもしれない。