来るお客さんの邪魔にならないように、入り口から少し離れたところで、お店の壁にもたれた。
「あの……ごめん」
高野くんを怒らせてる原因に心当たりがありすぎるので、とりあえず謝った。
なのに高野くんから返ってきたのは、はぁ、というため息だった。
「聞きたいことは、色々あんだけど」
「……うん」
「『高野翔希くんをください』っていうのは、どういうこと?」
私の隣で、壁にもたれかかっていた高野くんの肩が、トン、と私にぶつかった。
「……もう店来ないっつったくせに、
自分で破るし、おまけにバカなこと言ってるし。
なに企んでんの?おまえ」
企んでる…?
そんなつもり、全然ないのに。