もう、病気なんじゃないかな。


『忘れられない』って、病気。




……『忘れたくない』って、病気。






「……山西さん」


「え?」


「買い物はまた今度ゆっくりしよう!
ちょっと付き合ってほしい!」


「えっ、まぁいいけど…」



手に取ってた商品を棚に戻して、2人でお店を出た。


お店を出たら、高野くんがバイトする喫茶店は目と鼻の先…。



「もう行かないんじゃなかったの?」


「……山西さん、どうしよう」


「ん?」


「揺らぎすぎてる…」



行きたいのに、行きたくない。


会いたいのに、会いたくない。


行きたいって、会いたいって思うのに


自分で会わないって言ってしまったことが“後悔”として襲ってきて、足が動かない。



「三澤ちゃん」


「……」


「行こうよ。
わたしもついていくから」