「三澤ちゃんはこの色いいんじゃない?」


「うん…」


「手だして」


「うん…」


「……三澤ちゃーん、手ー」


「…うん…」


「話聞いてる?
ボーッとしすぎ」



ボーッと突っ立ったままの私に、山西さんがデコピンをかましてきたのでハッとした。



「どうせあそこに見える喫茶店が気になるんでしょ?」


「ち、ちち、違う!」


「どもりすぎだよ。
三澤ちゃん嘘下手だね。
今まで隠すのは上手だったけど、
もしカマかけられたりしてたら…バレてたかもね」


「……自分でもそう思う」



誰にも気付かれてなかったけど、


「高野くんのこと好きでしょ?」って言われたら、きっと上手く隠せなかったと思う。


嘘は苦手。


どこかで、絶対後悔するもん。