素直になれない高野くんと素直になりたい私。




「おはよ」


「あ、おはよう、湊くん」


「なんか、久しぶりじゃね?」



朝の電車で、湊くんに会った。


たしかに、久しぶりだ。


湊くんにアドバイスを貰ってから、山西さんにメイクしてもらうべく、早めに家を出ていたから。


でも今日からは、前と同じ。


高野くんに見せる必要がなくなったから、家で簡単にメイクしてから出てきた。


たぶんこれからも、そうなっていくと思う。



「メイク、いいじゃん」


「ありがとう。
友達に教えてもらったんだけど、
自分でやるのはあんまり慣れてなくて、薄めになっちゃう」


「薄くても似合うけど」


「ありがとう」



そんなこと言ってくれるの、湊くんくらいだよ。