「もう、お店来るの、やめるから」






視線を下に向けて言ったら、


スタンプカードをしまおうとしていた手を、グッと掴まれた。



「……は、なんで?」


「……お金、ないし」


「それは、奢るって言ってるじゃん」


「そんな何回も奢ってもらうわけにもいかないし…」



どう考えても、高野くんに迷惑かけるだけ。



「…どうしたら、また来てくれんの?」


「……もう、来ません」



『さようなら』と頭を下げて、お店を出た。



外は、雨が降ってて


なんだか私の心みたい、って、少し笑った。