素直になれない高野くんと素直になりたい私。




「……あ、あはは!
嘘っぽい!」



冗談っぽく、笑い飛ばそうとしたら、


高野くんにグッと手首を掴まれた。



「俺、嘘は言わないけど」


「……!」


「……まぁ、昔は言ってたかもしんないけど」



パッと手を離されて、すぐに店員モードになって「300円です」って言われた。



……昔は嘘、言ってたんじゃん。


説得力、ないんですけど。



お金を払って、レジを打ってる高野くんをチラチラと盗み見る。


どうしたって昔から、この人ばっかり目で追ってしまうんだから…怖い。


ちっとも嫌いになれなくて、ずっと“好き”ばっかりで…嫌になる。



希望なんか、ないのに。